「わたしのマンスリー日記」第11回 帰郷――「われは山の子」

 その日の夕べは、兄弟姉妹愛と家族愛に包まれた幸せなひと時を過ごしました。これだけのメンバーが集まるのはこれが最後……。信州の山の中の外気は冷たく、5度か6度。でも心地よい寒さでした。
 
 翌22日日曜日は一点の雲もない秋晴れの空でした。ホテルの窓から見る信州の秋空はどこまでも青く澄み渡り、その向こうに青春時代に見慣れた初冠雪に輝く乗鞍岳(3,026m)を望むことができました。(写真中央)
 この日は以前からの企画で、63年前に卒業した中学校の同級生たちと対面することになっていました。詳細は新聞記事をご覧ください。

 後日、担当記者さんから次のようなメールが入りました。忘れられない言葉になりそうです。

〈素敵な友情と夫婦愛を見て、最後まで席を立てませんでした。友人の冗談にお顔がふっとほころんだ瞬間を見て、「ああ、心の底から湧き上がる喜びとはこういう様を言うんだな」と感動しました。〉

谷川 彰英 たにかわ あきひで 1945年長野県松本市生まれ。作家。教育学者。筑波大学名誉教授。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。千葉大学助教授を経て筑波大学教授。国立大学の法人化に伴って筑波大学理事・副学長に就任。退職後は自由な地名作家として数多くの地名本を出版。2018年2月体調を崩し翌19年5月難病のALSと診断される。だが難病に負けじと執筆活動を継続。ALS宣告後の著作に『ALSを生きる いつでも夢を追いかけていた』(2020年)『日本列島 地名の謎を解く』(2021年)『夢はつながる できることは必ずある!-ALSに勝つ!』(いずれも東京書籍刊)がある。

(モルゲンWEB2023)

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